高知県経営品質通信

徒然だより

 ロンドンオリンピックでの日本チームの活躍は目覚しかった。正々堂々と戦い抜いたすべてのアスリートたちに、心からの祝福と感謝を贈りたい。とりわけ印象的だったのが、なでしこジャパン(女子サッカー)と火の鳥NIPPON(女子バレー)。メダル獲得後、彼女たちは申し合わせたように「最高の仲間たち」「みんなのおかげです」とインタビューに答えた。諸外国であれば「Oh! God!」と天を仰ぐところだろうが、この国ではそうならない。祝福の場で交わされる言葉は「おかげさま」。それも、誰に、何に対して「おかげさま」なのかが曖昧なところが素敵だ。あらゆる出来事、万物に対しての感謝。お国柄というものだろう。あえてそれを口に出し、態度に示すことで、幸福が循環していく。
 さて、そうした「最幸最強のチーム」が実現する条件とはなんだろうか。最近の学習会で、受講者にそんな問いを投げかけてみたところ、次のような声が返ってきた。

 ・全員が「今ここ」の経験に没頭していること
 ・何のために自分たちは戦うのか。心の深いレベルで目的共有していること
 ・それぞれが、その瞬間に何をすべきか、という役割を明確にしていること
 ・勝つか負けるか。徹底的に結果(目標達成)にこだわっていること
 ・ここに辿り着くまでの考えられないような努力を経験として共有していること
 ・自分は皆を代表している、という強い意識があること
 ・家族や支えてくれた仲間への感謝の気持ちで溢れていること
 ・メンバーは強い絆で結ばれており、その期待を裏切るまいという緊張感がありながらも、
  笑顔、明るさが感じられ、かつ正々堂々としていること
 ・「チーム(同志)」「家族」「所属団体(仲間)」「日本」というイメージで、求心力に整合性と一貫性があること

 ここで考えたいのは、果たして自社、あるいは自店で上記項目がどの程度実現できているだろうか、というところだ。従業員、その家族、顧客が互恵的に関わり合い、感動⇒感謝⇒やる気のエネルギーを生み出す。そんな感動共鳴関係を構築するうえで求められる要素ばかりである。
 そしてもうひとつ、オリンピックでの躍進で重要な役割を果たしたのが、平成20年に開設された味の素ナショナルトレーニングセンターだという。陸上競技や競泳はもちろん、レスリング、卓球、アーチェリーなど幅広くトレーニングできる場。競技種目は違えども、同じ目的と目標を持つアスリートたちが一堂に集い、情報交換し、刺激し合う道場である。6月から始まったこの高知県経営品質協議会学習会も同様の異業種交流の場。受講者同士で深く対話し、切磋琢磨し合える場となるよう、努めていく思いをスタッフ一同で強くしている。

高知県経営品質協議会 指定講師 大原 光秦