昨年度は、「あきらめない幸福」 をテーマとして学習会を重ねて参りました。 幸福心理学の第一人者、米カリフォルニア大のソニア・リュボミアスキー教授によると「自分は幸福だ」と感じている人はそうでない人より仕事の生産性が31%高く創造性は3倍になる、と発表したことにヒントを得たものです。 そして、 このVUCA時代に幸福を勝ち得るためには、頼れるリーダーの存在が不可欠であることから本年度の学習会の基調テーマを「HEROの経営」と致しました。
米グーグル社のプロジェクト・アリストテレスで検証されたとおり、生産性向上において、社員の「心理的安全性」が職場に醸成されていることが成功要因となります。今や欧米の研究に先を越されていますが、本来それは、日本で大切にされてきた家族主義組織文化を示唆するものではないかと考えるところです。
世界においてもっとも長い歴史と伝統を誇る我が国日本にこそ、 混迷する人類の課題である「永続的繁栄」の鍵があるのかもしれません。「家族主義組織文化」の大黒柱となる「HERO」の経営。これらを学び合う学習会にご賛同、ご参集いただければ幸甚に存じます。
「HERO」とは米ネブラスカ大学のフレッド・ルーサンス教授が 年ほど前に提唱した「心の資本」をヒントにした概念です。教授は、ポジティブな心理状態を保つために訓練や学習によって強化できる要因を以下の4つにまとめました。
・前向きに自分の道を見つける力= Hope(希望)
・自分にはできると信じて行動を起こす力= Efficacy(効力)
・失敗や逆境に立ち向かう力= Resilience(再起力)
・そしてポジティブなストーリーを自分で組み立てられる力= Optimism(楽観)
これらの4つの頭文字を取って「HERO within」とした心理分析です。ただし、この分析は、あくまでも米国における研究であることから、当会では「E」を自分自身の心決め=Engagement、Oを仲間との一体感=Onenessに置き換えることで、日本人の家族主義的文化とその心性に合うものに変換しています。
「心理的安全」とは「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」を和訳した心理学用語で、チームのメンバー一人ひとりが恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態のことを指します。
一般的に提供されている人財育成プログラムの多くは、役職や職種などで分類した対象者に応じた、知識や技能などの専門力を習得させる「研修」スタイルとなっています。業務遂行に求められるスキルや資格を短期に獲得できることから、様々な研修会が企画・提供されています。
一方、KQNは研修会とは趣旨の異なる「学習会」を企画し、ご提供することに努めて参りました。KQN学習会は、有意義な人生を送るために、同僚やお客様と接する中でいかなる価値創造をしていくのか…といった、本質的な「考え方」の整理をお手伝いします。
KQN学習会にご参画いただき、共に目指していくところは「高い影響力」の獲得です。人間として生き、暮らし、働いていく中で、関わり合う家族や同僚、お客様、地域社会に貢献する力とも言い換えることができるでしょう。影響力とは、専門力と人間力の複合によって構成される力であり、リーダーシップの本質です。ぜひKQN学習会の場にご参集いただき、影響力を磨き合う機会としていただければ幸いです。
人間には、ビジョンを描きその実現のための構想を組み立て、実行することによって環境に支配されることなく未来を創り上げていく力が備わっています。それには、未来志向の想像力・創造力ばかりではなく、他者と共鳴する思いやりと忍耐力、協働するための調和力や対話力、諦めない心の強靭さ、向上心など、人間独自の力が求められます。KQN学習会では、そうした力の総体を「人間力」(人間性知能)として位置づけ、鍛錬することで強化していくことのできる能力として、開発のための学びを深めていきます。
■ 以前は何事にも消極的で自分の不甲斐なさに気持ちが萎縮し、周りが見えなくなることが数多くありました。セミナーへの参画当初は「そんな自分が受講しても意味がないのでは」と後ろ向きな感情が大半でした。しかし、その内容は仕事の魅力について考えるもので、人との繋がりや誰かの役に立つ素晴 らしさを学ぶ機会になりました。社会人として歩み始めたばかりで、何も始まっていない、これからだ、ということに気づかされました。今は「まずやってみよう!」の精神で、先輩や同僚に頼ることもありますが、自ら行動することを心掛けています。試行錯誤の連続ですが、一歩踏み出すことで得られる気づきが私自身の成長を後押ししてくれています。
サービス業/男性
■ おもてなしの仕事が大好きで、お客様からの感謝や応援の言葉で元気になれる私。ですから仲間には、「素敵なシゴトだから一緒に頑張ろう」と伝え続けてきました。しかしいつの頃からか完璧な接客応対を求めるようになり、職場内での人間関係に軋轢が生じていました。挽回すべく業務を抱え込み、全てが中途半端になるという悪循環に陥ることに。そのような状況を打破するヒントを掴んだのが、セミナーでの学びでした。「業務の習得以上に、人として成長することがもっと大事」という言葉が心に響き、未熟な自分を受け入れ素直に仲間と向き合えるようになりました。今では皆と切磋琢磨しながら、笑顔が溢れるお店づくりに力を注ぐことが私のやりがいです。
接客業/女性
■ リーダーとは仕事を分配し、一歩下がって見守るのが役割だと思っていました。そうすることでスタッフ達は柔軟に考え、自由闊達に行動できるはずでした。しかし予想に反して現場は停滞感が漂い、人間関係に隙間風が吹くような状態に...。あたり前ですが、人によってやる気の源泉や歩み方は違います。しかし当時の私は、誰でも「任せてもらったから、期待に応えよう!」と奮起するものだ、という思い込みがありました。仲間の人物理解が不十分だったにもかかわらず、一方的に価値観を押しつけて混乱させていたのです。セミナー受講を通じて、仲間の心に寄り添うことや膝を突き合わせて対話することの大切さを学びました。一人ひとりが成長し、イキイキと輝いて働ける職場づくりに励みます。
介護事業/男性
■ 業界・分野を問わず素晴らしい組織の共通点は、明確な目標が存在することです。ですから店長として目標を掲げ、朝礼やミーティングで何度も発信し続け、進捗確認も怠りませんでした。最初は順調でしたが、次第に業績が低迷し、スタッフに疲労感が蔓延することに。そんな状況で参画したセミナーだったので、少しでも問題を発見できればと必死でした。気づいたのは、目的やビジョンが希薄な状態だったということです。いつのまにか目標達成にばかり縛られ、みんなで思い描いた未来にワクワクし、切磋琢磨するチームになるという大切なことを疎かにしていました。まずは今一度原点に立ち返り、少し先の未来で、このメンバーだったからコロナ禍を乗り越えたのだと胸を張って言えるチームをつくります。
接客業/女性