高知県経営品質通信

高知県経営品質協議会(KQN)の活動報告

 昨年も様々な出来事がありましたが、政権交代、領土問題、口蹄疫や基地移転に伴う地方自治等々これほどにリーダーシップの品質が問われる年もなかったように思います。
 このようによく使われる「品質」という言葉ですが、何をもって高いとするか低いとするか、あらためて問われると困ってしまうものです。学校の授業品質、企業における経営品質などなど、「品質のよしあし」はどのような指標で測ればよいのでしょうか?  たとえば、時計やメガネなどの工業製品の品質は考えやすそうです。「故障のしにくさ」や「精度」「メンテナンスのしやすさ」。「デザイン」もそうでしょうね。では、接客などのモノが存在しないサービスの品質はどうでしょう?「何をしてもらえるかが明確」「誰に聞けばよいかがすぐにわかる」「伝達ミスがない」など。いずれもお客様の立場から感覚的に評価されるものになってきます。「気持ちのいい笑顔」とか「元気いっぱい」「みんな親切」などもそうかもしれませんし、あるいは「金額が安い」、「時間が早い」などもそうかもしれません・・・。しかし、なかにはマッサージサービスのように、ある程度の時間をかけることで喜ばれるサービスもありますし、お葬式を頼んだスタッフが「ようこそいらっしゃいましたーっ!」とやたら元気過ぎるのも困ってしまいます。難しいものですね。
 「品質」を意味するクオリティという単語は、「目的に適っている度合い」を表す言葉、クオリスを語源とします。サービスの目的はお客様に喜んでいただくことですが、もっと具体的にどの部分で喜ばれたいかを明らかにすることが大切です(例:安さなのか徹底サービスなのか)。そうすると何に頑張ればよいかがハッキリしますので、スタッフ一人ひとりが自分で考えやすくなったり、チームワークが発揮しやすくなったりして組織としての能力が高まっていくわけです。
 そこで考えたいのが「経営の品質」。その組織の経営目的は、そもそも誰を幸せにするためなのか。もしかすると、存在すること自体が目的になってしまってはいないか、そのために「徹底サービスをどこより安く!」と喧伝して第一線で働く人や誰かを不幸にしてはいないのか。そこが明らかになってこそリーダーシップの品質が決まります。
 私たちは、いったい誰を、どう幸せにすることを目的としてリーダーとしての影響力を持つのか。どんな一歩を踏み出すべきなのか。来年度も皆さんと真剣に考えて参ります。

高知県経営品質協議会 指定講師 大原 光秦