高知県経営品質通信

高知県経営品質協議会(KQN)の活動報告

 KQNの2010年度学習会が始まりました。それぞれの講座に合計100名以上の方々が参加され、顧客満足や社員満足などをテーマに、活発な意見交換がおこなわれています。このような「地方経営品質協議会」は全国に約25団体があるのですが、嬉しいことに会員数が増え続けているのは高知県だけ。しかも、これだけ地理的に不便であるにも関わらず、大阪や広島、香川などから毎月受講しに来られる方もいらっしゃいます。
 聞いてみると、熱く語り合ったり感動して涙を流したりするような勉強会の「場」は県外にはなかなかないとのこと。そんな話を聞くと、経済的な指標ではワーストの方に名前を並べる高知ではありますが、まだまだポテンシャルはあるなと実感します。なんとか現状を打開し、よりよい未来を築こうと、志ひとつで様々な地域、業界から人が集まり、自由闊達に語り合う場。いい大人が恥ずかしがらずに理想や夢を語り合えるこの場を大切にしていきたいと考えながら、毎回のプログラムを作っているところです。受講されている皆さんからもご要望を寄せていただけると嬉しく思います。
 そんな話で思い出すのが、次の故三島由紀夫氏のテレビインタビューコメントです。『人間の生命というのは不思議なもので、自分のためだけに生きて自分のためだけに死ぬというほど人間は強くない。というのは、なんか人間は理想なり何かのためということを考えているので、生きるのも自分のためだけに生きることにはすぐ飽きてしまう。すると、死ぬのも何かのためということがかならず出てくる。それが昔言われた"大義"というものです。そして、大義のために死ぬということが、人間のもっとも華々しい、あるいは英雄的な、あるいは立派な死に方と考えられていた。しかし今は大義がない。これは民主主義の政治形態というものは大義なんてものがいらない政治形態ですから当然なんですが、それでも心の中に自分を超える価値が認められなければ、生きていることすら無意味であるというような心理状態がないわけではない』
 KQNの学習会では、目的と目標を整理して心作りをしましょう、という話を必ずします。目的とは理想、すなわち大義です。目の前の目標に取り組むことは、一体誰のためになるのか、何のためになるのか。自分の人生においてそれはどのような価値があるのか、というところ。かつての日本には常に逼迫した状況があり、志ある者は、何かを守るために、誰かを守るために本氣で生き、また、命を投げうちました。ひるがえって現代。我々は理想そっちのけで、目の前の目標ばかりを追いかけている気がしてなりません。『理想を失った民族は滅ぶ。 歴史を忘れた民族は滅ぶ。すべての価値を金銭に置き換えた民族は滅ぶ。』
 また学習会で皆さんと理想について語り合えることを楽しみにしています。

高知県経営品質協議会 指定講師 大原 光秦