高知県経営品質通信

高知県経営品質協議会(KQN)の活動報告

 いよいよ2011年の学習会がスタートしました。今年も100名を超える会員の皆様に研修参加のご登録をいただき、この高知で共に学び合えることの喜びと責任をひしひしと感じています。皆さんには貴重な時間を割いてご参画いただくわけですので、KQN学習会が実り多い時間となるよう、スタッフ一同、全力で臨んで参ります。
 ちょうど1年前。このKQNニュースのコラムで三島由紀夫さんのエピソードを引用しながら次のように書きました。『戦前~戦中の日本は常にひっ迫した状況にあり、志ある者は何かを守るために、誰かを守るために本氣で生き、また、命を投げ打ちました。ひるがえって現代。我々は理想そっちのけで、目の前の数字ばかりを追いかけている気がしてなりません』
 そして今年3月、あの東日本大震災が発生しました。あの戦争以来、この時ほど強く私たちが「日本」という国を意識したことはなかったように思います。ちょうど私自身、仙台で研修をおこなっている最中での出来事。すべての交通網が麻痺して帰ることもできず、数日間被災地で足止めに遭いましたが、この国の本質を垣間見る重要な経験となりました。
 仙台に住む知人が7月に渡米した際、米国人に次のように言われたと苦笑いしながら語ってくれました。「あれほど危機的な災害でも互いを助け合う日本人の姿に感銘を受けたよ。でも、その優秀な民族がなぜあの政府で我慢できるんだ?まったく不思議だね」その知人は、「あなたがテレビで見た通り、日本は国民がしっかりしているから政府があんなのでもやっていけるんだよ」と苦し紛れに答えたそうです。
 そうか・・・と私は考えました。政府や整備されたインフラの力で日本が成り立っているわけではなく、この国で生活を営む一人ひとりの人間の生き方がこの国を作っている。
 たしかにそうです。だからこそしっかりしなければ。
 停電や通信網のトラブルであらゆる情報から切り離された震災後の数日間。自分自身の五感と信念で行動し続けた被災地の人々の姿は実に立派なものでした。一方、都心ではメディアに翻弄され、あっという間にコンビニの水や食料が尽きてしまいました。
 ・・・自らは何に基づいて行動するのか。今、私たちの根本が試されています。

高知県経営品質協議会 指定講師 大原 光秦