高知県経営品質通信

KQN NEWS
第8号
平成27年度のテーマ
志の経営

 高知県経営品質協議会(以下KQN)発足して12年。過去の資料を振り返ってみると、各回の学習内容が時代の流れとともに大きく変化してきたことを実感します。
 発足当初の頃は商売繁盛勉強会的な要素が強く、「うまくやっている会社」の事例を映 像で視て、意見を交わし、自社に取り入れていくようなスタイルでした。やがてそのような「手法の模倣」で差別化を図る時代は過ぎ去り、「知識(知恵)を創造する力」が問われるようになりました。その流れの中で、KQN学習会も「情報を知る」スタイルから「自分の頭で考え出す」スタイルへと進化してきています。
 昨年度は「強い組織づくり」をテーマに掲げ、

弱さと悪と愚かさは、互いに関連している。
弱さとは一種の悪であって、「弱き善人」では駄目である。
智慧の透徹していない人間は、結局は弱い。

という森信三先生の至言から着想して「思考放棄」を「弱さ」と位置づけ、組織内で「考え合う力(対話力)を磨く」ことによって実現される「学習する組織」を目指したところです。
 「“考える”とは変化を起こすことである」を基本概念として、日ごろの自身や組織の有り様を省察し、話し合いました。その実施報告と参画された皆さんのレポート抜粋を右面にご紹介していますので、お時間のある時にでもご一読ください。
 本年度は「志の経営」をテーマとする学び合いを構想しています。「為せば成る」ことを信じ、粉骨砕身する同志の集いの場にご参画いただければ幸甚です。

高知県経営品質協議会 大原 光秦



KQNキックオフセミナー 6月5日(金)

今回のキックオフセミナーに、「靴下屋」で知られるタビオ株式会社の越智直正代表取締役会長を特別講師としてお招き致します。靴下をこよなく愛し、メイド・イン・ジャパンに夢と誇りを持って弛まず前進し続ける志の経営、その心髄に触れられる貴重な機会です。



新規職員人財化セミナー

6月~11月・全6講 / 募集人数:35名 対象:入社2年目までの方



現場力強化セミナー

8月~2月・全4講 / 募集人数:25名 対象:中堅社員の方(社歴3~10年程度)



学習力向上会

企業担当者が集い、効果的な学習プログラム を検討・開発するための意見交換の場です。
※学習会に受講者をお出しになる企業の担当者の方はご参画いただきますようお願いいたします。



上司力強化実践学習会

10月~3月・全6講 / 募集人数:25名 対象:部長職・課長職級の方



本氣の社長塾

10月~2月・全6講 / 募集人数:20名 対象:経営者・経営幹部の方



KQN総括セミナー 3月開催予定

各KQN学習会受講者を対象とし、一年間の総仕上げとなるセミナー。継続学習で得たことや現場で試してきたことなど、それぞれの体験や想いを持ち寄り話し合う場です。また、様々な業界から特別講師をお招きして講演会を開催します。


今年度は図のような構想で各種学習会をご用意しました。新人の皆さんから経営トップの方まで、 幅広くお集まりいただけるプログラムとなっています。

新規職員人財化セミナー

新規職員人財化セミナー

新しい人財がイキイキと元気な笑顔で働くために...

職場は自分を磨きあげる場です。しかし、「ほどほどでいい」とそこに踏み込もうとしない社員の増加が社会問題となっており、消化試合のように働く結果、“やりがい”が実感できず、さらに他人意識が高まる負の連鎖が生まれています。そこで、高知の未 来を担う新規職員の皆さんが、会社の枠を超えて同じ世代の方々と真剣に向き合い、語り合うことで「自分らしく生きる」理想の働き方について学んで参ります。

参加者の声

毎回、テーマや教材のバリエーションが豊富で、とても楽しく受講させていただいています。回を重ねるたびに考え方が整理されていく感じです。


尊敬する先輩像について対話する時間がありました。どこの会社でもよい影響力を発揮する先輩がいて、私自身そんな人財になりたい、と強く思うことができました。


自ら望み夢見て入った会社なのに、日々の作業やカリキュラムでいつの間にか受け身で仕事に取り組んでいた自分に気付きました。もう一度初心に戻り、志を持っ た仕事を心掛けていきます。

現場力強化セミナー

現場力強化セミナー

働く現場で求められる人間力について理解を深める

経験を重ねるうち、いつの間にか仕事がルーチン(定型)化することはよくあること。しかし、この時代、現場の最前線でいかに「新しい価値」を生み出すかが問われます。現場力こそが組織の生命線と言っていいでしょう。製造であれ、開発であれ、サー ビスであれ、事務であれ、求められるのは仕事に臨む一人一人が最善を尽くすこと。人がイキイキと働き、パワフルに未来を切り拓く「強い現場づくり」を考えて参りましょう。

参加者の声

他人を変えるのではなく、自分が変わることの大切さを知ることができました。日常では自分のことで一杯いっぱいで同僚や後輩のことまで気を配ることができておらず、その結果尊敬される社員像からは離れていっていたように思います。少しずつ気持ちの余裕を持ち、会社の雰囲気づくりに貢献していきたいと思いました。


この研修に行くまでは、うまく仕事を進める手法を教えてもらえればありがたいと思っていました。しかし、参加して感じたことは、周りの方と想いをぶつけ合い、自分自身のあるべき姿についてとことん考える時間であるということです。研修での学びを芯とし、仕事の現場で影響力を発揮していきたいです。

上司力強化実践学習会

上司力強化実践学習会

経営者の視座で現実と理想を見据え、導く上司となる

「新規職員人財化セミナー」や「現場力強化セミナー」で理想とする職場づくりを具体的に推進するためのリーダーシップを磨く 学習会です。全国で上司力(示道力)向上の実践で知られる、ビスタワークス研究所の大原光秦氏が講師を務めます。社員が助け合い、協力し合って最善最幸の価値を生み出す職場づくりの実現に向けて、課題を明らかにしながら実践的に学び合って参りましょう。

参加者の声

私たちが求めることを、部下がなぜできないのか、と考えたときに「きっとやってくれるだろう」と期待するだけで的確なコミュニケーションが不足していることに気がつきました。「一番大切なことは何なのか...」当事者意識を持ってもらうために今一度話し合おうと思います。


研修の中で「理想」について話し合い、明確にすることでギャップ(課題)が明らかになってきました。早速、定期ミーティングの機会を利用し問題意識を共有する所から始めます。ただ、現状は充分に伝えられていない状態ですので、どうやら私自身の課題を解決することからですね。

本氣の社長塾

本氣の社長塾

社員の幸福を追求し、地域に求められる企業を目指す

経営者・次世代経営者を対象とした学び合いの場です。現在の事業経営をより効果的なものとするために参照すべき、卓越した経営の実践事例を紹介して参ります。全国から選りすぐりの講師や経営者をお招きし、参画者同士で自由闊達に見解や経 験を交換し合います。組織のトップとしての志の在処や大義、誇りを深く考察し、ぶれない経営を実現するための礎を固める機会です。経営道場のイメージでご参集ください。

参加者の声

様々な業種・業態の会社を経営されている皆様と顔を合わせ現状の確認をしあうことも刺激のひとつとなっており、社内における社員同士の関係の質をより高めることに繋がりました。ノウハウやテクニックに頼らず、社内での在り方を意識することで、社員との関係にも変化が生まれてきています。


「量は目に見えるから追いやすい。質は目に見えないからなおざりにされる」私はこれまで質ではなく、量ばかりを追っていたことに気付きました。また、「問題対処ではなく問題解決が大事」という言葉も強く印象に残っています。仕事のなかでの組織づくりだけではなく、人生を通してそのことを考え直したいと痛感しました。

高知で生まれた子どもたち
高知で子どもを育む社会にする

 発足して12年を迎えた高知県経営品質協議会。これまで県内外の様々な参画者の皆様と時間を共にし、理想について語り合って参りました。「お客様に真のお役立ちがしたい」「仕事を通じてやりがいを感じ、成長を実感できるような働き方がしたい」「家族を守る力を持つために、自分を高めていきたい」「大好きな故郷、高知をどうにかしたい」・・・こうした声は、若者たちの県外転出、それによる人口減少や高齢化社会への対応についての課題が山積されたままである現実の反映であると考えています。そしてその問題解決を国や地方行政に依存するのではなく、私たち自身で解決策を編み出し、実行に移さなくてはならないと考えています。
 今、私たち高知県経営品質協議会に何ができるか。実行委員会で話し合いを重ね、新しい挑戦に向けて一歩を踏み出すこととなりました。

子どもを育てる力が問われています

 この話題になると、必ず学校や先生の指導力を問題にする声が高まります。しかし、私たちは家庭や地域における「子育て力」の低下に目を向ける必要があると感じています。
 高知県経営品質協議会は、言わずと知れた「事業経営」に関わる経営者や社員たちの学びの場です。そこに集う参画者は企業人であると同時に社会人であり、子どもを育てる親であり、社員を育むべき大人なのです。「子育て力」の再生は、私たち自身が追究すべき真のテーマです。

日本にはかつて、たくさんの親がいた

 皆さんの幼少期はどのようなものだったでしょうか。家の中にはお爺ちゃんやお婆ちゃんがいて、近所には顔馴染みのおじさんやおばさんがいる。挨拶をすれば返してくれる。おつかいや兄弟の面倒を見ていれば「えらいねえ」と褒めてくれ、目に 余ることがあれば叱って正してくれる。自身の子であるかどうかに関わらず、大切な子どもたちをみんなで育てる、という風土がありました。そう、この国には大勢の親たちがいたのです。
 兄弟が減り、公園に人影が少なくなりました。子どもに習い事をさせるために親が仕事を求めて町に出たことで、祖父母や親族と集う機会が減りました。一人、二人の我が子にすら関わる時間がなくなりました。これは現代の子どもたちの話ではありません。今、子育てに悩む親たちが子どもの頃、日本はすでにそうした環境になっていました。
 子どもたちをどう育てていくか...、私たち大人が真剣に考えていかなくてはならない時代です。互いに協力して子どもたちを育てる社会を再生する時なのです。

できるところから始める

 現在、県内企業の多くが中高生や大学専門学校生を受け入れ、職業体験・職業訓練・インターンシップといった体験型学習を実施しています。文部科学省が奨励するキャリア教育推進ということよりも、高知の社会を創っている少し先輩の私たちが、切磋琢磨して働く姿を青少年たちに見てもらいたい、考える機会にして欲しい、という願いで実行しているものです。
 高知県経営品質協議会では、まずはこの活動を加速させることから始めよう、と話し合っています。明るい未来予測が立たないからといって諦めるのではなく、現実に果敢に挑戦する。仲間やお客様とまっすぐに向き合い、絆を紡ぎ生きる。そうやって一所懸命に働く企業人の姿や志に触れてもらいたい。そこからこそ、高知の新しい未来が始まると信じています。
 あらためて皆様にはご案内を申し上げますので、ご一読の上で当活動にご理解・ご協力を賜れば幸甚に存じます。