高知県経営品質通信

KQN NEWS
第7号

平成25年度 開催した研修のご報告

「道標のない時代」を迎えた日本。ここ高知県の少子高齢化の流れは止まらず、明るい兆しが見えるのはまだ遠い先になりそうな気配です。そのような状況下ながらもやれることはどんどんやっていこう!と、平成25年度は日本流経営の原点、「三方よしの経営」をテーマに学習会を開催いたしました。今回の経営品質通信では、「素晴らしい経営、幸福を追求する働き方」を求め、学びあった3講座の活動内容をご紹介させていただきます。

新規職員人財化研修

新規職員人財化研修

「人材」から「人財」へ、一歩踏み出す勇気をつくる

 『新規職員人財化研修』では、高知の明日を担う若者たち45名が業界や職種の枠を超えて集い、入社後の様々な不安を分かち合い、互いに励まし合いながら、それぞれが志を持って強く働いていくために必要な考え方を学びました。
 研修のスタート時点では緊張して口数が少なかった皆さんでしたが、やがて研修が進み、対話を重ねる中で少しずつ心を開き、お互いの成長を支え合う関係を築くことができていったようです。
 前途多難と言われている高知県ながらも、研修会で見せる彼ら彼女たちの真剣な対話の様子から、前途洋々たる未来が始まりつつあることを感じます。今やその皆さんも新しい後輩を迎え、仕事の目的や対話の大切さを伝えてくれていることと思います。

参加者の声

■ 研修の当初は仕事の悩みというよりも、社会人になった大変さが語られることが大半でした。しかし、研修会が進んでいくと、学びを実践することで生まれる具体的な悩みも増えてきて、自分も含め、みんな成長しているのだと自信を持てました。


■ 先輩や上司・会社・お客様に貢献するためには、どのような成長が必要なのか重点的に考えました。新入社員のそれぞれが仕事に応じた能力や知識、技術を身につけようと努力していますが、時間に追われて焦る気持ちから「ゆっくりと確実に」学んでいくことができず、ついつい問題対処的な方法を選んでしまいます。もっと長い目で見て、自身の想いと先輩の考えを練り合わせ、最も適した成長過程を組み立てていくべきと考えました。


■ 周りの人に何かを与えられる人間になりたいです。先輩方を見ていても、周りから助けられ、信頼されているのは、日頃から周囲の方に何かを与えられている方です。自分がして欲しいことを期待して人と接するのではなく、見返りを求めず、周りの人を助け、与えていける人間になります。まずその一歩として今日からでもできる、元気を人に与える人間を目指します。


■ 学生の頃は本音で話し合うことが恥ずかしく、機会があってもなかなか本音を口には出せませんでした。けれども、今回の研修で同じ社会人1年目の人たちがしっかりと自分の意見を述べている姿を見て、「いいな」と思えるようになりました。自分の意見は人と違うかもしれない、だけど恐れずに伝えようという気持ちを大切にしたいです。

実践!買い手よし研究塾

実践!買い手よし研究塾

日本流『顧客満足』向上セミナー

 ワンクリックで世界中から欲しいものが手に入る時代…『顧客満足』の本質が問われています。この研修会は、顧客満足の基礎的な考えを学ぶ「基礎編」(2回)と、さらなる向上を実現するために具体的な現場実践モデルを学ぶ「応用編」(4回)の2段構成。まだCSに馴染みの薄い若手社員から現場第一線でバリバリ活躍している方まで、幅広く参加者にお集まりいただき、日本流商いの原点である「三方よし」の視点から、ものづくりやサービスのあり方を考え合いました。
 お客様から「また来たい!」「応援したい!」と評価される企業には、その組織文化に、人の心を動かし、動機付けする共通原理が根付いているものです。そうした具体的事例をもとに対話を重ね、成功法則を学び、職場実践の精度を高める学習会。参加者同士が智恵を出し合い、日本流顧客満足=「買い手よし」の本質を考える時間の中で気づきが広がり、自社の独自能力を最大限に引き出すアイディアを生み出す研鑽の場となったようです。

参加者の声

■ この研修は、自分の働き方や考え方を見直す貴重な機会となりました。私は毎日数字に追われる営業職をしていますが、勉強会では「何のために働くのか?」と問いを立てることで、売り上げばかり気にする働き方でなく、相手の立場になって考えること、最善を尽くすことの大切さを再確認しました。学習会の中で学んだ「日本流リーダーの特質」は特に参考になり、自分で考え、行動することでお客様に喜んでいただきたい、という思いが強くなりました。「弱き善人」ではダメ、強さを持ちたいと思います。


■ これまで、CSとはお客様に「ありがとう」と言っていただくための努力だとだという漠然とした解釈をしていました。しかし、今回の研修を通じて「お客様のため」に行動することはあくまでも通過点で、目指すべきところは自分自身の人間的成長なのだと気付くことができました。「お客様に喜んでいただける」ために何が必要なのかを常に考えて、職場での関係性を高め、自分の知識・経験をどんどん増やし、成長に繋げていきたいです。そのような努力を経てお客様から笑顔で「ありがとう」と言っていただくことで、自身の成長が実感できるものだと思います。


■ 私はこれまで、部署の最年長者として、皆を「引っ張っていかなければならない」と思っていました。しかし、今回の研修で「無理に引っ張る」のではなく「同僚や後輩のやる気を引き出すことのできる」社員になりたいと思いました。そして、後輩や同僚が想いや悩みを素直に相談したくなるような社員でありたい。そのためにも、まずは社員同士の交流が必要不可欠だと思います。社内で皆が信頼関係をもって仕事に臨める現場をつくりあげ、相談事があっても本人にとってたくさんの知識や経験から自分の思いが伝えられ、適切なアドバイスができるような人間になりたいです。

実践!売り手よし研究塾

実践!売り手よし研究塾

日本流リーダーシップセミナー

 「給料は現状のままで十分。部下を持てば面倒が増える。今のままで結構です」と昇進を拒否する若者たち・・・「ほどほど族」が急増しています。『成功体験がマニュアル化され仕組みができるほど、その枠組みに安住し依存する傾向が強まる。やがてその枠組みに含まれている危機に気づかなくなる』かつてトインビー(歴史学者)が語ったとおり、社会が成熟し、組織が安定するほどに現場で働く人間達の労働意欲や向上心が減衰する現実。就業規則どおりに出社し、昨日と同じ作業を粛々と繰り返し、1年前と同じ給料を受け取り満足する・・・。いかに働きかければ、彼ら彼女たちの心に火を付けることができるのか。管理統制型リーダーシップや権限委譲型リーダーシップが陳腐化しつつある今、「人の心を動かす」本物の示道者(指導者)が求められています。当講座では、そうした問題意識を持つ方々が集い、熱心な対話を重ねながら新しい時代のリーダーのあり方について研究を重ねました。

参加者の声

■ 「当事者意識」について最近よく考えます。私たちリーダーが期待することを、部下がなぜできないのか、と考えたときに、「誰かがやってくれるだろう」という無意識に支配されているのかな、と思いあたる節があります。「一番大切な事な何なのか…」当事者意識を持ってもらうために今一度話し合おうと思います。


■ 研修の中で問われた「理想」を検討し、明確にすると、現実とのギャップがとても目につくようになってきます。まずは「理想」を全スタッフと共有するところからと思い、ミーティングの機会を利用し始めたところですが、まだまだ効果的に伝えられていない状態。どうやら私自身の課題を解決することからですね。


■ 私が入社した当時は、皆が愛社精神に溢れ、各々ができることを精一杯に取り組み、お客様からの感謝はスタッフ間で共有し我が事のように喜べたのに、最近はそれが薄れてきたよう感じていました。しかし、そのことを考えることはあっても、行動に移すことができていませんでした。研修に参加する事で、会社を再び働きがいにあふれた本来の姿に戻したい、という強い想いを持つ事ができました。


■ 研修に参加するようになってから「当事者意識」を意識するようになりました。これまでは、「自分が望むことを部下たちは、なぜやってくれないのだろう」と思い続けていました。しかし、そんな勝手な期待を部下に押し付けるのではなく、本人が「こうしよう!」「こうしたい!」と自発的に考えられる状況をつくることが大切だと気付くことができました。部下がやってくれるという期待感に支配されているのかな、と思うと反省ばかりです。みんなで当事者意識を持ち、能動的に働くために。研修で現状打開のヒントをたくさん学びましたので実践していきます。

KQN 総括セミナー

KQN 総括セミナー

KQN 学習会の最終ステージ

 1年間かけて進めてきた3つの学習会の総まとめとなる「KQN 総括セミナー」。『実践!幸せが広がる最善最高の自分づくり、職場づくり』と題し、3部構成のセミナーを開催致しました。第1部は、KQN指定講師陣の横田英毅氏、大原光秦氏、結城貴暁氏の3人が登壇し、1年を振り返って語り合うざっくばらんなパネルトーク。そして第2部ではNGO法人テラ・ルネッサンス(京都)の栗田佳典氏を特別ゲストとして招き、同組織の活動の近況をお話いただきました。そして第3部で、会場にお集まりの皆さん同士、膝をつき合わせて語り合うワークショップという構成で進行しました。

満足追求の落とし穴

 第1部では、当年度のKQN 学習会の基本コンセプト「幸福を実現する経営」をテーマに語り合いました。「韓国の某大手企業は、日本でかつて優良とされていた企業が失墜し始めた原因を研究している」(横田)という話に始まり、「社員満足が大事、と一口に言われるが、社員の欲求を満たすために労働条件を改善するということと、社員の幸福を実現するためにチャレンジングながらもやりがいに溢れた仕事に取り組ませるということは次元が異なる」(大原)という話へと展開。日本の企業の多くは、CSやESという言葉に代表される、(環境依存型・思考停止型)満足に翻弄され、道を過ちつつあるのかもしれない(大原)とする仮説の中で、第2部の栗田氏の講演に入りました。

「挑戦」のはじまり

 第2部では、栗田氏を中心とするテラ・ルネッサンスのウガンダ少年兵問題や東日本復興にまつわる活動の詳細が報告されました。そして始まった第3部。「満足感」からはほど遠い過酷な仕事に生きる栗田氏の毎日の中で、彼らは何を求め、努力をし続けるのか、その動機の源泉は何なのか、その活動を始めることとなったきっかけは何だったのか・・・。参加者たちのグループワークの中から熱心な質問が寄せられました。質疑応答を繰り返すうちに、栗田氏自身の少年期の重度の病気との闘い、そして母や家族の想いに触れる経験を通して、現在の価値観が形成されてきたことが徐々に紐解かれることに・・・。とかく正義VS不正義が対立し、戦いが繰り広げられる経済社会や国際情勢。しかし私たち日本人は、過去からずっと追求し守り合ってきた「善」という概念を今一度定義し、生き方や働き方の基本的考え方、態度を再構成し直すべき時ではないか、ということ確認しあう時間となりました。

平成26年度KQN学習会の組み立て

今年度は図のような構想で各種学習会をご用意しました。新人の皆さんから経営トップの方まで、幅広くお集まりいただけるプログラムとなっています。開催時期が近づきましたら、ご希望の方にお誘いのご案内をお送りさせていただきます。ぜひともご参集くださいませ。



KQNキックオフセミナー

2013年度日本経営品質賞を受賞した西精工株式会社(徳島)西泰宏代表を講師としてお招きします。一般に困難とされる経営継承後の経営革新。その実際の取り組みについて、秘訣やご苦労話など、余すところなくご披露いただき、ヒントを頂戴いたします。



新入社員人財化セミナー

同期入社だからこそ語り合える職場の悩みや課題。日々の努力を積み重ね、研鑽していくために仲間がいると心強いものです。とはいえ、若干名の新入社員を迎えることで精一杯の企業が多い高知県。当学習会は、県下の企業等から業界を超えて新人が集い、切磋琢磨し合える仲間づくりを広げる場です。

平成26年度KQN学習会の組み立て


現場力強化講座

臨機応変性が組織力を決定する今、現場最前線スタッフの主体性や向上心、考える力が強く求められています。営業、製造、介護、事務・・・あらゆる現場で価値づくりをおこなっている皆様が、一皮むけた職業人となる機会を提供する学習会です。



上司力強化研修

マネジメント(業績達成のやりくり)に追われるばかりで、リーダーシップ(組織の潜在力を最大化する統率力)を学び、志向する機会に恵まれない中間管理職。当学習会では、部下達のやる気を引き出し、チーム力を最大限に発揮する組織づくりを実現する上司力を学び合います。



社長塾

高知県で経営活動をおこなう社長、次世代社長のための学習の場です。参画者同士で自由闊達に意見を述べ合い、切磋琢磨し、さらなる経営品質向上を追求する経営道場のイメージでご参集ください。



定例情報交換会

それぞれのKQN学習会にスタッフの方を派遣する企業担当者が集い、さらに効果的な学習プログラムを検討、開発するための情報交換の場です。受講者アンケートを閲覧しながら対話を深めて参ります。
※いずれかの学習会に受講者をお出しになる企業の担当者方は、必ずご参画ください



KQN総括セミナー

各KQN学習会受講者を対象とし、一年間の総仕上げとなるセミナー。継続学習で得たことや現場で試してきたことなど、それぞれの体験や想いを持ち寄り話し合う場です。また、様々な業界から特別講師をお招きして講演会を開催します。